ランディングページ(以下、LP)とは、広告などから来たユーザーが最初に訪れるページを指し、商品やサービスの魅力を伝え、購入や問合せといったコンバージョンにつなげることが主な目的です。
今回は、BtoB商材のLPに特化して、事例を交えながら成果を出すためのポイントを紹介します。BtoBのLPの制作を検討している方や、自社LPの成果が上がらず悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
また、LP制作においては、ユーザーニーズを捉えた構成が鍵となりますが、特にBtoBのLPでは、BtoCとの違いを理解しておくことが不可欠です。BtoCとの違い、基本構成についても詳しく解説するので、ぜひ最後までお読みください。
BtoBのLPとは
LPとは、広告やメルマガなどの遷移先として表示されるページを指し、購入や問い合わせといった特定のアクション(コンバージョン)を促すことが目的です。そのため、商品やサービスの魅力を伝える内容に特化し、縦長の1ページで制作されることが特徴です。
ここでは、BtoBのLPの目的とHPとの違いについて解説します。
目的
LPは特定のアクションを促すことを目的とすると先述しましたが、BtoC商材のLPとは違い、BtoB商材のLPでは購入が目的となることは稀です。BtoBでは、見込み顧客とのつながりを作り、商談につなげることが目的となるため、次のようなアクションをコンバージョンとして設定することが多くなります。
- 問合せ
- 資料請求
- 無料トライアル
- ホワイトペーパーのダウンロード
- セミナー・イベントへの申込み
コンバージョンを何に設定するかによって、LPのコンテンツは異なります。自社の商材の価格やターゲットの状況に合わせて検討しましょう。
HPとの違い
LPとHPは、一見似ているように思えますが、制作する目的・仕様はまったく異なります。
先述したように、LPはコンバージョンにつなげることを目的とします。そのため、ユーザーの興味が分散し別ページへ遷移されることを防ぐため、基本的にはリンクは設置せず、必要な情報を1ページにまとめた形で作成されます。
一方、HPは企業・ブランドや商品・サービスに関する情報を網羅的に伝えることを目的とするため、複数ページで構成され、ページ間の回遊を促すような作りになります。
BtoBのLPは大きく2種類に分かれる
BtoBのLPは、ターゲットの違いで「潜在層向け」と「顕在層向け」の2種類に分けられます。
LPを制作する際は、どちらのパターンで制作するのかを明確にしましょう。そのうえで、ターゲットに合わせたコンバージョンポイントを設置し、そのために必要なコンテンツを盛り込むことが大切です。
ここでは、それぞれのLPの特徴やアプローチ方法を解説します。
潜在層向け
潜在層は、商品やサービスへの興味関心が薄く、「欲しい」というところまでまだ距離がある状態です。そのため、少しでも興味をもってもらい、つながりを作ることがLPの目的となります。
コンバージョンポイントは、ホワイトペーパーのダウンロードやセミナー申し込みなど、ハードルの低いものを設定すると良いでしょう。フォーム一体型の仕様にすることで、入力のハードルも下げられるためおすすめです。
潜在層にリーチするためには、SNS広告が有効とされています。ユーザーの目を引く広告素材を制作することはもちろん、すぐに離脱されないようLPのファーストビューを工夫することも非常に重要です。
顕在層向け
顕在層は、商品やサービスへの関心が高く、購買を検討している状態のため、購買意欲を刺激することがLPの目的となります。
コンバージョンポイントは、資料請求や問合せを設定すると良いでしょう。コンテンツは、商品やサービスへの理解を深め、購入の後押しとなることが重要です。商品・サービスに関する専門的な説明やデータ、実績を用いてベネフィットを訴求しましょう。
顕在層にリーチするためには、リスティング広告が有効です。コンバージョンの機会を逃さないよう、CTAは複数箇所に設置します。ファーストビューに目立つように入れておくことも良いでしょう。
BtoBとBtoCのLPの4つの違い
私たちが普段インターネット上で見る一般消費者向けのBtoCのLPと、法人向けのBtoBのLPでは、目的や内容が大きく異なります。BtoBのLPを制作する際は、BtoCとの違いを理解したうえで、必要な要素を検討しましょう。ここでは、BtoBとBtoCのLPの主な違いを4つ解説します。
- ユーザー行動の違い:BtoBは衝動で行動しない
- 成果地点の違い:BtoBはCV=売上ではない
- デザインの違い:BtoBは信頼感・安心感のあるデザインにする
- 内容の違い:BtoBは論理的な説明と実績が不可欠
①ユーザー行動の違い:BtoBは衝動で行動しない
一般消費者向けのBtoC商材では、「LPの閲覧者=購入の意思決定者」であることが多く、商材の価格帯にもよりますが、購入までの検討期間は比較的短いとされています。そのため、LPを見てその場で「欲しい」と思ってもらえるような情緒的な訴求も有効です。
一方、BtoB商材では、LPの閲覧者は担当者で、上司やそのまた上の人が購入の意思決定者であるという場合が多いでしょう。そのため、購入までの検討期間は長くなる傾向にあり、衝動的な「欲しい」という感情で行動するのではなく、さまざまな角度から検討され、慎重に判断されることが特徴です。
②成果地点の違い:BtoBはCV=売上ではない
BtoCのLPでは、商品の購入・サービスの申込がコンバージョン(CV)と設定されることが多く、CV=売上となります。
一方、BtoBでは資料請求や問合せなどがコンバージョンとなるため、LPの目的は売上を上げることではなく、ユーザーとの繋がりを作り商談につなげることといえます。売上はそのあと付いてくるというイメージです。
売上を上げるという意味では、コンバージョン後にどのくらい商談につながったかという点が重要な確認ポイントとなります。
③デザインの違い:BtoBは信頼感・安心感のあるデザインにする
BtoCでは、ユーザーの目を引くような個性的なデザインや情緒に訴えかけるようなコピーが有効な場合もありますが、BtoBでは逆効果になることもあります。
BtoBでは、取引先として信頼できる企業であること、購入して問題のない安心できる商品・サービスであることを印象付ける必要があります。LPのデザインは信頼性を高められるよう、シンプルで落ち着いたデザインを心がけましょう。
④内容の違い:BtoBは論理的な説明と実績が不可欠
BtoCではLP閲覧者が意思決定権を持っていることが多く、「欲しい」と直感的に感じてもらえるようなコンテンツが重要とされ、商品やサービスの細かい説明や専門的な話はそれほど重要でない場合もあります。
一方、BtoBでは企業として意思決定をすることになるため、購入までにはさまざまな角度からの検討が必要となります。LPに求められる内容も、論理的かつ詳細であることが必須です。
LP閲覧者である担当者が上司を説得する材料となるよう、実績や他社比較などを掲載しておくことで、コンバージョンにつながりやすくなるだけでなく、その後の商談もスムーズに進めることができるでしょう。
BtoBのLPの基本構成
LPを制作する際は、コンバージョンを促すために必要な情報を1ページにまとめることが重要です。しかし、あれもこれもと盛り込みすぎて、情報が散乱して読みづらいページになってしまっては意味がありません。
ユーザーニーズを満たしつつ、読みやすく説得力ある内容にするためには、次の7つの構成を守りましょう。
- ファーストビュー
- 問題提起・興味喚起
- 共感
- 解決策・ベネフィット
- 実績・事例
- 導入フロー・料金
- クロージング
それぞれについて詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
ファーストビュー
ファーストビューとは、ページを訪れた際に最初に目にする部分のことで、スクロールせずに見られる範囲の内容を指します。
ユーザーはファーストビューで、このページに自分が必要とする情報がありそうかを瞬時に判断します。ファーストビューでは、紹介している商品・サービスが何なのかを端的に表現しましょう。
権威付けになるような情報や実績など目を引く内容を記載することも有効です。「無料で試してみる」「まずは問合せ」など、すぐにアクションにつなげられるようCTAを設置しておくのも良いでしょう。
また、広告から流入した場合、広告の印象とファーストビューの内容やデザインがあまりにも異なると、ユーザーの混乱を招きかねません。広告を打つ際は、広告素材とファーストビューの整合性を意識することも大切です。
問題提起・興味喚起
LPを訪れるユーザーのほとんどは、何らかの課題を抱えており、解決策を探していると考えられます。いきなり商材の紹介から始めるのではなく、まず問題提起をすることで、ユーザーはぐっと引き込まれるはずです。
また、潜在層は商材への興味が薄い段階のため、問題提起をすることで、「この商品なら解決してくれるかもしれない。少し読んでみよう。」と興味を持つきっかけにもなります。
共感
問題提起をしただけでは、まだユーザーとの距離があるかもしれません。共感を示すことで、ユーザーとの距離が縮まり、「そうそう、まさに悩んでいたことだ!」と自分事化が進みます。
「○○のようなことはありませんか?」というようにユーザーが抱えていると思われる課題を指摘しましょう。ここでユーザーの心を掴むことができれば、解決策を知りたいという気持ちが高まり、次を読み進めてくれるはずです。
解決策・ベネフィット
解決策として商材の特徴を説明します。ここで重要なことは、ベネフィット、つまりその商材を使うことで得られるメリットを最初に端的に表現することです。
商材に関する詳細な説明は必要ですが、時間をかけてじっくり読んでくれるユーザーは多くありません。まず、「こんな良いことがあるんです!」とわかりやすくベネフィットを提示し、課題を解決してくれそうだと思わせることが重要です。
興味を持ってくれたユーザーは、スクロールして詳細な情報を読んでくれるでしょう。
実績・事例
単にベネフィットを示すだけでは説得力に欠けるため、ベネフィットの根拠づけとして実績や事例は必須です。また、ユーザーは、上司への打診や意思決定をするうえで不安要素をできるだけ除いておきたいと考えるため、実績や事例は安心材料にもなります。
効果を示すデータや導入している企業数、満足度の高さなど具体的な数字で示すことが有効です。掲載内容を検討する際は、ユーザー目線に立って、どのような根拠を示せば納得性が高まるか想像してみましょう。
導入フロー・料金
導入までの流れや料金など、検討するうえでユーザーが気になるポイントは押さえておきましょう。導入までどれくらいの時間がかかるのか、どれくらい労力がかかるのかを示すことで、ユーザーは見通しを立てやすくなります。
コンバージョンを獲得するために、あえて導入フローや料金に関する情報を掲載しないケースもあります。他の内容と比較すると優先度は高くないため、競合優位性やページ全体のボリュームを考慮して検討すると良いでしょう。
クロージング
クロージングとして、CTAボタンや入力フォームを設置します。CTAはクロージングだけでなく、ユーザーがコンバージョンを意識すると考えられる箇所に複数設置すると良いでしょう。
ページを最後まで読んでいるユーザーは、興味関心がかなり高いと考えられるため、確実にコンバージョンにつなげられるよう、後押しとなるような文言を入れておくと効果的です。
たとえば、「この画面から資料請求をした人限定で、30日間無料トライアルキャンペーン実施中」など、期間限定の情報やキャンペーン情報などが有効です。
BtoBのLPで成果を上げるための5つのポイント
LPは、コンバージョンを獲得するという明確な目的を持って制作されます。しかし、LPを立ち上げたからといってすぐに成果が出るとは限りません。
ここでは、成果を上げるための5つのポイントを解説します。なかなか成果が出ず行き詰っているという方は、自社のLPと見比べてみてください。
- ユーザー目線に立って構成を組み立てる
- 適切なCVポイントを検討する
- 安心感・信頼感を与えるコンテンツを盛り込む
- 他社比較などで自社の優位性を訴求する
- 仮説検証をして改善を繰り返す
LPは一度作って終わりではなく、より成果の出るLPにするために改善を繰り返すことが重要です。まだ対応できていない点があれば、すぐに取り組んでみましょう。
1.ユーザー目線に立って構成を組み立てる
商材の良さを伝えたいという思いが強いあまり、企業本位のページになってしまっていないでしょうか?一度、ユーザー目線に立ってLPを読んでみてください。
ユーザーがページを訪れたときに何を考えているか、何を気にしながら読み進めるか、CTAボタンを押す前に何が気になるかなど、ユーザーの頭の中を想像してみましょう。
また、ターゲットが複数パターンに分かれる場合は、無理に1ページで対応しようとせず、ターゲットに合わせて複数パターンのLPを制作することがおすすめです。コストはかかってしまいますが、ターゲットが異なると問題提起の仕方や共感の示し方も異なってきます。
2.適切なコンバージョンポイントを検討しCTAを設置する
BtoBのコンバージョンポイントとしては、問合せや資料請求、無料トライアルなどさまざまありますが、商材やターゲットに合わせて精査することが重要です。
まだ商材への興味関心が薄い潜在層向けのページで、コンバージョンポイントとして問合せしか設定していなかった場合、コンバージョンのハードルが高く、見込み客を逃してしまうかもしれません。ホワイトペーパーのダウンロードなど、比較的気軽にアクションできるものも設定しておくと良いでしょう。
また、CTAボタンはデザインや文言にもこだわりましょう。ボタン色や文言を変えるだけでクリック率が大きく高まることもあります。複数パターンを作成し、ABテストで検証すると良いでしょう。
3.安心感・信頼感を与えるコンテンツを盛り込む
BtoBビジネスにおいて安心感・信頼感は非常に重要です。個人の買い物以上に、法人としての取引では、ミスを避けたいという気持ちが強くなるものです。
商材が信頼に足るものであることはもちろん、企業としても信頼できるということが重要になります。LPには、取引企業数や企業名、事例など実績をアピールできる要素を必ず盛り込みましょう。サポート体制の厚さを強調することも信頼性につながります。
4.他社比較などで自社の優位性を訴求する
BtoB商材では慎重な判断が必要になるため、競合他社と比較検討される場合が多いでしょう。そのため、LPでは、自社商材のアピールポイントを示すだけでなく、他社と比較した際の優位性を示す情報をわかりやすく訴求することが大切です。
表やグラフなどひと目でわかる形で掲載することが理想です。直接的な比較が難しい場合は、「シェアNo.1」や「業界最高レベルの○○」などの情報で優位性をアピールすることも有効です。
5.仮説検証をして改善を繰り返す
LPは、一度作って終わりではありません。必要なタイミングでLPO(ランディングページ最適化)を実施することが大切です。
LPOとは、CVR(コンバージョン率)を上げるために、ユーザーニーズに合うようLPを改善することを指します。その際、データに基づいて仮説検証を行うことが重要です。アクセス解析ツールなどを用いて定量的な分析を実施しましょう。
分析する際は、コンバージョン率に加えて、次の指標を確認すると良いでしょう。
- 直帰率
- ページ滞在時間
- CTAボタンのクリック率
- フォーム入力完了率
改善策を一つ実施したからといって、CVRがすぐに高まるとは限りません。いくつもの要素が絡み合っているため、根気強く課題点を抽出し、仮説検証を繰り返しましょう。
アクトデザインラボが実施したBtoBのLP制作事例
当社アクトデザインラボ株式会社では、あらゆる業種や業界の企業様のWebマーケティングを支援しています。
当社が支援したBtoBのLP制作事例を2つ紹介するので、参考にしてみてください。
廃棄処分・中古品買取業界A社様
A社様の事例では、既存のLPのブラッシュアップとして、ファーストビューの訴求ポイントに徹底的にこだわりました。
変更前のファーストビューは、自社ができることを会社目線で網羅的に記述をしていましたが、業界の状況として、参入企業が増え、各社できることは同等の水準になってきていたため、自社の優位性が示せず魅力に欠ける内容になってしまっていました。
そこで、顧客の潜在的なニーズを捉えたうえで、競合とは異なる視点で語れる訴求ポイントを探りました。競合の多くが「便利さ」という訴求に集中しているところに対して、さらに一段掘り下げた提供価値を考案できたことで、差別性のあるファーストビューにすることができました。
セキュリティ系サービス業界B社様
B社様は、対面営業が強い会社で、対面の営業ツールとしてwebサイトを活用していました。
しかし、既存サイトは、サービスがいかに「多機能か」「素晴らしい機能か」を紹介することに終始しており、多機能でユーザーの工夫次第でさまざまな使われ方が生まれるというサービスの強みを十分に表現できていませんでした。
そこで、サービスの機能がどういう使われ方をして、どんな役に立っているかをユーザーインタビュー等も含めて調査、ヒアリングをして、実際の現場での具体的な使われ方もコンテンツとして盛り込みました。
その結果、サービスの内容を顧客に解像度高く理解してもらえるようになり、営業ツールとしての活用の幅が広がりました。
まとめ
BtoBのLPを制作する際は、コンバージョンに至るまでのユーザーの頭の中を想像しながら、必要な情報を適切な順番で盛り込みましょう。営業トークを1枚にまとめるイメージで、導入からクロージングまで情報が散乱しないよう意識することが大切です。
成果を出せるLPを制作するためには、ある程度の経験やノウハウが必要となります。自社内でリソースを確保できない場合や、制作したものの成果が出ず行き詰っているという場合は、Webマーケティングの専門家へ相談してみるのも良いでしょう。
当社アクトデザインラボ株式会社では、お客様とコミュニケーションを取りながら、課題を浮き彫りにし、企画・設計〜開発運用までワンストップで支援しています。LPの制作や運用でお悩みの方はぜひ一度当社へお問い合わせください。