「サイトのユーザーは増えているのにCVRが伸びない」「最近CVRが徐々に落ちてきているが原因がわからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
CVRはサイトの収益にも大きくかかわる重要な指標だけに、CVRの低下は見逃せない問題です。CVRが低下している場合は、まずは原因を突き止めましょう。原因探索が不十分なまま対策を進めてしまうと、効果が出なかったり、一過性で終わってしまったりします。
今回は、CVR低下の主な原因と、原因探索に使えるチェック項目・コツを徹底解説します。CVR低下の原因がわからず悩んでいる人は必読です。ぜひ最後までお読みください。
CVRとは?
CVRとは、コンバージョン率のことで、サイトを訪れたユーザーのうち、特定のアクション(コンバージョン)に至った人の割合を指します。コンバージョンはサイトの目的によってさまざまで、購入やお問い合わせ、資料請求などが挙げられます。
CVRの計算方法
CVRは次の計算式によって求められます。
- CVR=コンバージョン数÷セッション数×100%
コンバージョン数、セッション数はGoogle Analyticsなどの解析ツールの画面から見ることができます。
仮に、CVRが2%から1%に下がったとします。セッション数は変わらずコンバージョン数が1/2になった場合と、セッション数が2倍になってコンバージョン数が変わらなかった場合では取るべき対策は異なります。これは極端な例ですが、CVRを見るときはコンバージョン数とセッション数の動きも併せて確認することが非常に重要です。
コンバージョンの例
コンバージョンは、サイトの目的や商材によってさまざまです。たとえば、次のようなものが挙げられます。
サイトの種類 | コンバージョン |
---|---|
ECサイト | 商品購入 |
コーポレートサイト | 問い合わせ |
マッチングサイト | マッチング |
旅行・宿泊サイト | 予約 |
不動産サイト | 資料請求、問い合わせ |
コンバージョンを何に設定するかによって、コンバージョンに至るまでのユーザーの行動や必要な時間は異なるため、分析時に見るべき指標も異なります。
【業界・商材別】平均CVR
先ほど解説したように、サイトの種類によってコンバージョンを何に設定するかが異なるため、CVRにも差が出ます。業界・商材別の平均的なCVRは下表のとおりです。
CVRの低下が見られた際は、業界・商材平均と比較してどうかといった視点を持つとよいでしょう。
業界・商材 | 平均CVR(検索) | 平均CVR(広告) |
---|---|---|
自動車 | 6.03% | 1.19% |
BtoB | 3.04% | 0.80% |
消費者サービス | 6.64% | 0.98% |
マッチングサービス | 9.64% | 3.34% |
Eコマース | 2.81% | 0.59% |
教育 | 3.39% | 0.50% |
金融・保険 | 5.10% | 1.19% |
健康・医療 | 3.36% | 0.82% |
家庭用品 | 2.70% | 0.43% |
法律 | 6.98% | 1.84% |
不動産 | 2.47% | 0.80% |
テクノロジー | 2.92% | 0.86% |
旅行・娯楽 | 3.55% | 0.51% |
参照元:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry(The WordStream Blog)
CVR低下の原因を突き止めるための10のチェックポイント
CVRが低下している際は、CVR改善施策を検討するためにも、まずは原因を明確にすることが最優先です。しかし、「CVRの低下の原因を探りたいけれど、どこを見ればよいかわからない」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか?
ここでは、原因を突き止めるために見るべき9つの指標を紹介します。
- 流入チャネル
- 流入キーワード
- キーワードの検索需要
- 競合の状況
- 使用デバイス
- 時間帯
- 直帰率
- 滞在時間
- 読了率
- 行動フロー
Google Analyticsなどを使って順にチェックをすることで効率よく原因を把握できるので、ぜひ活用してください。
1. 流入チャンネル
サイトにはさまざまなチャネル(自然検索、Web広告、SNS、リファラル、外部メディア等)から流入があります。まずはその内訳や総量が変化していないか、流入チャネルを確認しましょう。
2. 流入キーワード
ユーザーがサイトを訪れた際に検索したキーワードを確認します。どのキーワードから多く流入しているか、どのキーワードでCVRが低下しているか確認しましょう。
ターゲットとしていたキーワードとは別のキーワードから多く流入している場合、サイトの提供している情報とユーザーの検索ニーズがずれてしまい、CVRが低下していることも考えられます。
3. キーワードの検索需要
キーワードの検索需要は、季節や社会情勢の影響を受けます。ターゲットとしていたキーワードからの流入が少ない場合、そもそも検索需要が下がっていないか確認しましょう。Google Trendsを使うと、キーワードの検索需要を時系列で簡単に見ることができます。
検索需要が高いのに自社サイトへの流入が見られない、またはCVRにつながっていない場合は、競合に流れている可能性も考えられます。
4. 競合の状況
競合がキャンペーンやセール等のイベントを実施している場合、一時的に競合に流れてしまいCVRが低下することがあります。
また、競合の検索順位が上がっている場合は、競合が広告の入札を強化していることも考えられます。Google広告のオークション分析機能を使い、狙っているキーワードでどの程度競合の広告が表示されているか確認してみましょう。
併せて、競合の広告文を確認することも大切です。広告文の内容でCTRやCVRは異なります。定期的に確認し、ユーザーを惹きつける広告文は参考にしましょう。
5. 使用デバイス
ユーザーの使用デバイスを見て、PCとスマホでCVRに差がないか確認しましょう。スマホ版での表示スピードの遅れや表示崩れがCVR低下の原因になることもあります。
サイト立ち上げ時は確認していても、更新を重ねるなかで徐々に問題が起きてくることもあります。普段はPCでサイトを確認することが多いと思いますが、こまめにスマホでの挙動も確認するようにしましょう。
6. 時間帯
CVRが高くなる時間帯はいつか、またその時間帯に十分に広告配信ができているかを確認しましょう。
CVRは、一般消費者向けのサイトでは夜間に高くなる傾向にありますが、主婦向けのサイトであれば昼間など、ターゲットによって違いがあります。
広告は、CVRが高くなる時間帯に配信を集中させましょう。予算内で効率よくCVRを高めるには、ターゲットの行動に合わせた配信計画を立てることが大切です。
7. 直帰率
広告の遷移先ページの直帰率を確認しましょう。直帰率が高い場合、ユーザーが「このページには欲しい情報がなさそうだ」と判断し早々に離脱してしまっている可能性が高いです。
この場合、広告文や遷移先ページの内容を修正することで改善が見込めます。また、流入キーワードによって直帰率に違いが見られる場合もあるため、併せて確認してください。
直帰率が高くなる原因には、表示速度が遅いケースもあります。念のため、表示速度も確認しておきましょう。
8. 滞在時間
直帰率が高くなくても滞在時間が短い場合は、CVR低下の原因になります。
多くの場合、コンバージョンに至るためには、ある程度ページに滞在し、内容を読み込む必要があります。ページの役割にもよりますが、ページ滞在時間とセッション滞在時間の両方を確認するようにしましょう。
9. 読了率
読了率が低い場合、ページの途中でユーザーが興味を失ってしまい離脱したことを意味します。
読了率に課題がありそうな場合は、ヒートマップツールを活用して、詳細な離脱箇所を把握することをおすすめします。離脱箇所を特定することで、コンテンツやデザインをピンポイントで修正できるため、無駄な作業が減り、効率よくCVR改善につなげられます。
10. 行動フロー
コンバージョンにつながったユーザーと、つながらなかったユーザーの行動フローを比較してみましょう。ユーザーのサイト内での動きを把握することで、コンバージョンにつながったポイント、つながらなかったポイントが見えることもあります。
Google Analyticsで確認した後、ユーザーになりきってサイトを回遊してみると新たな気づきがあることも多いためおすすめです。
CVRが低下する12の原因
チェックポイントを確認することで、原因を絞り込むことが可能です。ここからは、具体的にどの原因の可能性が高そうかを考え、改善策につなげていきましょう。主な12の原因を紹介するので、チェックポイントの結果と併せて確認してみてください。
- 季節・トレンドの影響
- 競合に流れている
- 広告素材の質が低い
- 広告とLPの内容がずれている
- 広告のターゲティングがずれている
- リスティング広告でマッチ度の低いキーワードから流入している
- コンテンツがユーザーニーズにマッチしていない
- CTAが最適化されていない
- エントリーフォームの項目が多い・入力しづらい
- コンバージョンまでの導線が複雑化している
- ページの表示速度が遅い
- スマホ対応が十分でない
1. 季節・トレンドの影響
広告キーワードの検索需要や、そもそものサイトで扱っている商品・サービス・情報の需要は季節やトレンドの影響を受けます。
季節の影響を受けにくい商材でも、季節に合わせてキーワードを調整することが有効な場合もあります。キーワードを入れ替えながら、季節やニーズに合わせて最適化を図りましょう。
2. 競合に流れている
競合がキャンペーンを実施している場合や、広告の入札を強化している場合に加えて、競合がサイトの構造やコンテンツの質を上げたことで流れていることもあります。
定期的に競合サイトを訪問し、目新しいコンテンツや導線の変更などがないか確認することが大切です。自社サイトに活かせるアイディアが得られることもあるでしょう。
3. 広告素材の質が低い
CVRだけでなく、広告のCTRも低い場合は、広告素材の魅力が不足していることも考えられます。適切なターゲティングができていても、広告文や画像で直感的にユーザーを惹きつけられなければ、クリックにはつながりません。
広告素材の質を上げることは、クリックの先にあるCVR向上にもつながります。ユーザーニーズにマッチした広告素材になっているか確認しましょう。
4. 広告とLPの内容がずれている
広告とLPの内容がずれていると、ユーザーに「思っていたものと違う」「ここには欲しい情報はなさそうだ」と判断され、ページを読んでもらえない可能性が高く、コンバージョンにはつながりません。
特に、ファーストビューには注意が必要です。ユーザーは、ファーストビューで違和感を覚えると、先を読む気を失ってしまいます。広告とテイストを合わせつつ、ユーザーを惹きつける情報を入れ込みましょう。
5. 広告のターゲティングがずれている
本来のターゲット像からずれたユーザーを集客しても、コンバージョンはあまり期待できません。広告のターゲティング条件は複数かけ合わせることができますが、条件を増やしていくうちに、本来のターゲットから微妙にずれていってしまうことがあります。
また、ターゲティングが広すぎて、薄く広くユーザーを集めてしまっている場合もあります。コンバージョンが期待できるユーザーに絞り込み、ターゲティング条件を精査してみましょう。
6. リスティング広告でマッチ度の低いキーワードから流入している
狙っているキーワードではないキーワードからの流入が多い場合、ユーザーのニーズとサイトのコンテンツがマッチしない可能性が高く、コンバージョンにはつながりにくくなります。
マッチ度の低いキーワードに費用を割いていると費用対効果が下がってしまうため、ターゲットのニーズに一致したキーワードを精査しましょう。
7. コンテンツがユーザーニーズにマッチしていない
多くの場合、ユーザーは、サイト内のコンテンツを読みながら購入するかしないか、問い合わせをするかしないかを検討します。そのため、ユーザーの判断材料になるようなニーズにマッチしたコンテンツを提供することが非常に重要です。
たとえば、衣類を扱っているECサイトの場合、ユーザーは「着こなせるだろうか」「サイズで失敗したくない」と考えながらページを見ているでしょう。その場合、ユーザーの不安を解消しニーズを満たすには、モデルの着用画像だけでなく、一般人に近いようなスタッフの着用画像や口コミを多数掲載する方が良いと考えられます。ユーザーのニーズを意識した良質なコンテンツを十分な数準備することが大切です。
8. CTAが最適化されていない
CTA(Call To Action)は「行動喚起」のことで、主にユーザーがコンバージョンに至るために押すボタンのことを指します。CTAが最適化されていないと、ユーザーはページ内で迷ってしまったり、クリックするモチベーションが下がってしまったりして、コンバージョンにはつながりません。
具体的には、CTAの数や表示位置、文言、デザインです。ページ内でのユーザーの行動パターンや視線の動きを意識しながら数と表示位置を精査し、クリックを促すような文言とデザインを検討してください。
9. エントリーフォームの項目が多い・入力しづらい
エントリーフォームはコンバージョン一歩手前にあたりますが、項目が多かったり、入力しづらかったりすると、ユーザーは一気に意欲をそがれ、離脱してしまいます。
そのため、項目は必要最低限のものに絞りましょう。また、EFOツールの入力支援機能を使うことで、ユーザーのストレスを軽減することが可能です。
10. コンバージョンまでの導線が複雑化している
CTAボタンを押してから完了画面までのステップが多すぎる場合も離脱につながりやすくなります。
会員登録や規約への同意など作業が増えるたびに、ユーザーはストレスを感じてしまいます。ステップはシンプルにして、できるだけページをまたがずに完結できるよう工夫しましょう。
11. ページの表示速度が遅い
ページの表示が遅く、読み込む前にページを閉じてしまったという経験は誰でもあると思います。ページの表示速度が遅いとユーザーはストレスを感じ、すぐに離脱してしまいます。
ページの表示速度はGoogleが提供する無料ツールPageSpeed Insightsで簡単に計測できます。表示までに3秒以上かかっている場合は、改善に取り組みましょう。競合サイトの表示速度も確認できるので、参考にしてみてください。
12. スマホ対応が十分でない
スマホユーザーのCVRが低い場合、スマホ対応が十分でないことが考えられます。スマホ画面での使いやすさ、見やすさを確認してみてください。
スマホ対応を強化する際は、文字や画像のサイズを調整するだけでなく、スクロール追従型のCTAボタンを設置する等、スマホユーザーの行動を意識することで、より使いやすいサイトになるでしょう。
CVR低下の原因分析で意識したい3つのこと
なんとなく原因分析を始めてしまうと、無駄な分析や寄り道が発生して時間がかかってしまうだけでなく、あいまいな分析に終始してしまう可能性も高まります。原因分析をするときは、次の3つのポイントを意識してみてください。
- 仮説をもとに分析を行う
- 過去数値や参考数値と比較する
- ユーザー視点で定性分析も行う
1. 仮説をもとに分析を行う
分析を始める前に、仮説を立てるようにしましょう。Google Analyticsなどの解析ツールでは膨大なデータを取得できますが、仮説がないまま分析を始めてしまうと、データを見ても、どの数値に着目すればよいかわからなくなってしまうためです。
データを見る前にいくつか仮説を立てて、仮説検証をする気持ちでデータを見始めることが大切です。自分一人では考えが凝り固まってしまったり、ユーザーニーズを十分に理解できなかったりするかもしれません。仮説を立てる際は、チームメンバーなどに協力してもらい、複数の視点で考えてみるとよいでしょう。
2. 過去数値や参考数値と比較する
データを見る際は、なんとなくこの数値なら高そうだ、低そうだ、などと主観で判断することは避け、過去数値など比較対象を必ず用意するようにしましょう。
前月の数値や、同じ販促を実施していた期間の過去数値など参考となる数値を用意し、比較してどうか、前回確認したときよりも差が広がっているか縮まっているかという視点でデータを確認することで、データに基づいた客観的な判断ができます。
3. ユーザー視点で定性分析も行う
解析ツールでの定量分析に加えて、定性分析も行いましょう。定性分析を行うことで、定量分析では見えなかった新たな課題に気づくことがよくあります。
定性分析は、リスティング広告から流入したパターン、SNSから流入したパターンなど、流入経路別にユーザーになりきってサイトを見ることがおすすめです。コンバージョンのモチベーションが高い人、低い人などを想定するのもよいでしょう。
定性分析もできるだけ一人では行わず、複数人で実施することが望ましいです。ターゲットに近い人がいればぜひ協力してもらいましょう。
アクトデザインラボが実施したCVR改善事例
当社アクトデザインラボ株式会社では、あらゆる業種や業界の企業様のWebマーケティングを支援しています。当社が支援したCVR改善事例を2つ紹介するので、参考にしてみてください。
物流・ロジスティクス業界A社様【CVR100%改善】
A社様は、複数のWeb広告媒体で出稿していたものの、広告経由のCVRが低く、費用対効果が悪いことが課題でした。
まずは、媒体ごとのCVRを確認し、CVRの高い広告媒体×ターゲティングに対して予算を集中させました。加えて、LPにもCVR低下の原因がないかを確認しました。離脱率と問合せにつながるCTAのクリック率に課題があったため、ファーストビューの改善施策と、フォーム一体型LPへの変更を実施しました。
その結果、離脱率の低減、問合せの増加につながり、全体のCVRが100%改善し、同予算内で2倍のCV数を獲得できるようになりました。
商社B様【CVR200%改善】
B社様は、電話利用が多い業界にも関わらず、電話経由での問合せに苦戦していました。
まずは、CVR(CV=電話経由での問合せ)が低い原因を探索しました。その結果、一都三県以外からの問合せがほとんど無く、全国対応しているにも関わらず、お客様に伝わっていないという状況でした。
そこで、問合せ番号を03番号からフリーダイヤル(0120番号)に変更し、ページ内にも無料電話ボタンを設置しました。また、全国対応であることをわかりやすく伝えるため、対応可能エリアや各地での事例の紹介などコンテンツを拡充しました。
その結果、CVRが200%改善し、同予算内で2.5倍の電話問合せ数を獲得できるようになりました。
まとめ
CVRが低下していると、「早く対策を講じなければ!」と焦ってしまうかもしれませんが、まずは原因を明らかにすることが非常に重要です。
解析ツールを使えば多くのことがわかりますが、多すぎてどこをどう見ればわからないと困ってしまう人もいるかもしれません。今回紹介したチェックポイントと分析のコツを意識して、慣れるまでは多少時間がかかってもよいので丁寧に分析してみましょう。
正しく原因を把握することが、CVR向上の近道です。ぜひ正しく原因分析をする力を身につけて、効果の出るCVR改善の取り組みにつなげましょう。
自社のみで原因探索や分析をすることに不安がある場合や、最初だけはサポートが欲しいという場合は、外部の力を借りるという方法もあります。当社アクトデザインラボ株式会社では、お客様とコミュニケーションを取りながら、課題を浮き彫りにし、企画・設計〜開発運用までワンストップで支援しています。
CVRの低下に悩んでいるけれど原因がなかなか見つからない、自社で実施している方法が合っているのか不安という方は、ぜひ一度当社にお気軽にお問い合わせください。