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事業会社におけるデジタルマーケティングを成功に導く「三位一体」の構造とは

事業会社におけるデジタルマーケティングを成功に導く「三位一体」の構造とは

デジタルマーケティングが事業の成長に直結する現代において、多くの企業がその重要性を理解し、多額の予算を投じています。しかし、その一方で「投資に見合った成果が得られない」「場当たり的な施策を繰り返している」といった悩みを抱えるマーケティング担当者や経営層は少なくありません。

では、なぜ十分な予算を確保しているにもかかわらず、デジタルマーケティングが空転してしまうのでしょうか?

数多くの事業会社のデジタル戦略を支援してきた経験から言えることは、失敗の原因の多くは手法の選択ミスではなく、土台となる「組織」「予算」「パートナーシップ」の設計不足にあります。たとえば、数億円規模の目標を掲げながらも、そこに至るまでの具体的なロードマップや、社内にノウハウを蓄積する仕組みが欠落しているケースが多々見受けられます。

そこで今回は、当社アクトデザインラボ株式会社代表取締役・有村が、事業会社がデジタルマーケティングを自社の強力な武器として機能させるために不可欠な「全体像」について解説します。単なる広告運用のテクニックではなく、目標から逆算した予算の考え方、施策を完遂できる組織のあり方、そして外部パートナーを戦略的に活用するための極意まで、実体験に基づいた本質的な指針を提示します。

この記事が、貴社のデジタルマーケティングを「一過性の施策」から「持続的な成長基盤」へと変えるための一助となれば幸いです。

目次

事業会社におけるデジタルマーケティングの重要性

デジタルマーケティングは、もはや単なる「広告の一手法」ではありません。現代の事業会社において、それは事業の成長スピードを左右し、企業の競争力を決定づける「基幹システム」のような役割を担っています。まずは、事業会社におけるデジタルマーケティングの重要性について解説します。

デジタルが事業成長に与えるインパクト

デジタルマーケティングの最大のメリットは、その「拡張性」と「再現性」にあります。

従来の対面営業やオフラインの施策では、アプローチできる顧客の数や場所に物理的な限界がありました。しかし、デジタルを正しく活用すれば、24時間365日、最適なターゲットに対して自動的に情報を届け続けることが可能です。

また、デジタル上のあらゆる行動はデータとして蓄積されます。どの施策が功を奏し、どこに課題があるのかを可視化できるため、根拠に基づいた意思決定が可能になります。

この「打てば響く」ようなスピード感こそが、変化の激しい現代において事業をスケールさせるためのカギとなります。

「数年間の停滞」を招く理想と現実のギャップ

しかし、その重要性を理解しながらも、多くの企業が理想と現実の激しいギャップに直面しています。実際に支援の現場で目にするのは、経営層が「数年後に数億円規模の売上」という高い目標を掲げている一方で、現場では「何を、いつまでに、どう進めるべきか」という具体的なロードマップが描けていないという光景です。

ある企業の事例では、デジタルへの注力を決めてから数年が経過しているにもかかわらず、目に見えるアウトプットがほとんど出せていないという状況に陥っていました。これは決して担当者の能力不足だけが原因ではありません。多くの場合、目標(ToBe)と現状(AsIs)の距離を正確に測定し、それを埋めるための具体的なステップへと分解できていないことに起因します。

「手法」の前に「土台」を見直す

デジタルマーケティングを成功させるために必要なのは、最新のAIツールや複雑な広告手法を追いかけることではありません。魔法の杖を探す前に、まずは事業の目的地を明確にし、その達成を支える「予算」「組織」「パートナーシップ」という土台を再構築することです。ここが揺らいでいる状態では、どんなに優れた施策を投じても、砂漠に水を撒くような結果に終わってしまいます。

デジタルマーケティングを「コスト」から「投資」へ、そして「自社のアセット(資産)」へと変えていくためには、まずこの重要性の本質を捉え直すことが、すべてのスタートラインとなります。

デジタルマーケティングを成功に導く「三位一体」の構造

デジタルマーケティングを成功に導くためには、点としての施策(Do)を考える前に、戦略のインフラとなる「予算」「組織体制」「パートナーシップ」の3要素を一つの構造体として捉える必要があります。これらは独立して存在するのではなく、互いに密接に連動し、支え合っているからです。

たとえば、どれほど潤沢な「予算」があったとしても、それを正しく分配し、施策を完遂させる「組織体制」がなければ、投資はただのコストへと消えてしまいます。また、自社にリソースが足りない部分を補う「代理店」との連携においても、自社側に明確な判断軸(組織の機能)がなければ、代理店の提案を事業の成長へと結びつけることはできません。

逆に、強固な「組織体制」があり、自社のビジネスを理解する「代理店」というパートナーがいれば、限られた「予算」であっても、どこにレバレッジをかけるべきかという精度の高い判断が可能になります。

つまり、デジタルマーケティングで成果を出し続けるためには、これら3つの要素をバランスよく、かつ一貫性を持って設計することが必要です。ここでは、事業会社が押さえるべき具体的な実務のポイントについて詳しく解説します。

要素①:予算(逆算による意思決定)

予算とは、単に「使えるお金」の多寡ではありません。本来、予算は次のようなステップを経て論理的に導き出されるべきものです。

  • ToBe(どこまで行きたいのか):達成すべき事業目標(売上、利益、成約数など)を明確にする。
  • AsIs(現状は何が足りないのか):目標に対して、現在のリソースや成果との乖離を特定する。
  • 施策と体制の決定:その乖離を埋めるために「何をするか(施策)」と「誰がやるか(組織)」を決める。

このプロセスを経て初めて、適切な「予算」が算出されます。目標が曖昧なまま予算だけが決まっている状態は、目的地を決めずに燃料だけを積み込んでいる船のようなものです。

要素②:組織体制(アセットを蓄積する仕組み)

デジタルマーケティングの施策は多岐にわたり、かつ専門性が高いため、すべてを社内だけで完結させることは容易ではありません。しかし、だからといってすべてを外部に丸投げしてしまうと、社内にノウハウ(アセット)が残りません。

重要なのは、「施策を完遂できる体制」を整えつつ、最終的な意思決定とデータの蓄積を自社でコントロールすることです。組織の中にマーケティングの全体像を理解し、各施策が事業にどう寄与しているかを判断できる機能を持つことが、長期的な競争力につながります。

要素③:代理店との付き合い(実行力の補完)

自社ですべてのスキルセット(広告運用、SEO、サイト制作、LPOなど)を抱えている企業は、ほとんど存在しません。そのため、不足しているリソースや専門性を補うためにベンダーや代理店と協力することが前提となります。

ここで重要になるのは、代理店を単なる「作業の外注先」としてではなく、自社のビジネスモデルや業界特有の事情を深く理解してくれる「パートナー」として位置づけることです。事業会社側が明確な指示を出し、代理店がそれに応えるという健全な協力体制があってこそ、デジタルマーケティングは初めて正しく機能します。

事業会社におけるデジタルマーケティングの予算の決め方・使い方

デジタルマーケティングの予算策定において、最も避けるべきは「前期比○%増」や「余った予算の割り振り」といった、根拠の薄い金額設定です。成果に直結する予算を組むためには、事業目標から逆算する論理的なアプローチと、状況に応じた柔軟な運用が求められます。

ここでは、事業会社におけるデジタルマーケティングの予算の決め方、使い方について詳しく解説します。

目標(KGI)から逆算してKPIを設計する

予算を決める出発点は、常に「売上」「購入数」「成約数」といった最終的な事業目標(KGI)にあります。たとえば、「年間で100件の成約を獲得する」という「KGI」がある場合、そこから逆算して必要な「有効問い合わせ数」や「サイト訪問者数」を「KPI」として設定します。

この逆算のプロセスを経ることで、目標達成のために「どの程度の流入が必要で、そのためにはいくらの広告費や施策費がかかるのか」という、客観的な必要予算が算出されます。このロジックがないまま予算だけが一人歩きしてしまうと、現場は「予算を使い切ること」が目的化し、事業成長への寄与が不透明になってしまいます。

「ボトルネック」を見極めて投資を集中する

算出した必要予算が、必ずしも常に確保できるとは限りません。限られたリソースの中で最大限の成果を出すためには、現在のマーケティングプロセスにおける「ボトルネック」を特定することが必要不可欠です。

たとえば、ある製造業における事例では、社内でのデジタル活用の理解を深め、適切な承認フローを築くことが、技術的な施策以上に大きなボトルネックとなっている場合もありました。また、サイトの維持管理費をどう捉えるかという視点も重要です。

広告で集客はできているにも関わらずサイト内での成約率が低いという場合は、広告費を削ってでもサイト改修(LPO)に予算を集中させるべきです。全体のファネルを俯瞰し、どこを改善すれば最も大きなレバレッジがかかるのかを判断することが、賢い予算の使い方と言えます。

運用中の「予算スライド」という柔軟性を持つ

デジタルマーケティングの大きなメリットは、リアルタイムで成果が可視化されることです。そのため、期初に決めた予算配分を金科玉条のように守る必要はありません。

たとえば、リスティング広告の獲得単価が高騰し、一方でSEO経由の成果が好調であれば、即座に広告予算の一部をコンテンツ制作へスライドさせるといった柔軟な判断が必要です。

「決まった枠を使い切る」のではなく、目標達成のために「今、どこに投資するのが最も効率的か」を常に問い続け、予算を動的に運用できる体制こそが、事業成長を加速させる原動力となります。

デジタルマーケティングにおいて成果を出すための組織体制

デジタルマーケティングを成功させる組織の本質は、単に「作業をこなす」ことではなく、社内に知見を積み上げ、中長期的に機能する「資産(アセット)」を育て上げることにあります。ここでは、成果を出すためにあるべき組織体制について解説します。

デジタルマーケティングは「木を植える」作業である

サイトの構築やコンテンツ制作、SEOといった施策は、一度作れば終わりという「消費されるもの」ではありません。これらは、適切な手入れを続けることで年々大きく成長し、収穫をもたらしてくれる「木」のような存在です。

たとえば、広告は燃料を投じている間だけ進む「車」のようなものですが、自社サイトの価値向上や検索エンジンからの流入強化は、将来にわたって集客を支え続ける「森」を作ることと同じです。

組織体制を考える際、目先の成果を追うだけでなく、「いかにして自社の土壌に価値ある木を植え、育てていくか」という、投資対効果の資産性に目を向ける視点が必要不可欠です。

外部任せにしない「デジタル監督」の役割

「木を育てる」ためには、庭師(外部の専門家)に作業を依頼することはあっても、どのような庭を作りたいかという構想(意思決定)は、常に自社が主導しなければなりません。

多くの企業が陥る失敗は、専門的なことはすべて代理店に「丸投げ」にしてしまうことです。これでは社内にノウハウが蓄積されず、パートナーが変わるたびに庭の整備がゼロからやり直しになってしまいます。

事業会社の組織には、専門特化した各プレイヤーをまとめ上げ、事業目標へと導く「監督(ディレクター)」の役割が必要です。各施策がどのように事業目標に寄与しているかを俯瞰し、得られたデータを自社の知見としてストックしていく。この「知の統合」を行う機能こそが、組織をアセット化させる核心です。

施策を「完遂させる」ための責任の明確化

どれほど立派な苗木(戦略)を用意しても、水やり(実行)を怠れば枯れてしまいます。デジタルマーケティングの現場では、日々膨大なタスクが発生します。それらを一つひとつ着実に「完遂させる」体制がなければ、資産化は望めません。

「誰が、いつまでに、何のためにその施策をやり切るのか」。この責任の所在を明確にし、施策を最後まで遂行し続ける組織のグリップ力こそが、数年後の大きな成果(アセット)をもたらします。

事業会社におけるデジタルマーケティングの代理店との付き合い方

デジタルマーケティングを推進する上で、外部パートナーの活用は不可欠です。しかし、その付き合い方を誤ると、どれほど優れた代理店を選んでも成果は出ません。

重要なのは、彼らを単なる「外注先」ではなく、自社のビジネスを共に動かす「チームの一員」として位置づけることです。最後に、代理店との付き合い方のポイントを解説します。

安易なスイッチングが招く「致命的な時間ロス」

成果が上がらない時期に、すぐさま代理店の変更(スイッチング)を検討する企業は少なくありません。しかし、ここには経営的な視点で見落とされがちな「時間的リスク」が潜んでいます。

新しい代理店が、自社の業界構造や過去の施策データ、独自の強みを深く理解し、前任者と同等のパフォーマンスを発揮できるようになるまでには、通常3ヶ月から半年もの時間を要します。この「キャッチアップ期間」の間、事業の成長スピードは確実に鈍化します。

これは、野球でいえば「好調ではないから」といって、守備や走塁まで含めたチーム戦術を熟知しているイチロー選手を、即座にまったく別の選手に代えるようなものです。交代した選手がチームのサインや連携を理解するまでの間に、試合の流れ(事業のタイミング)を完全に失ってしまうリスクを、慎重に見極める必要があります。

「ビジネスモデルの深い理解」を共有する

代理店に求めるべきは、最新のテクニック以上に「自社のビジネスモデルへの深い関心と理解」です。

たとえば、顧客の購買心理や、成約に至るまでの複雑な意思決定プロセスを共有できていない代理店は、たとえ広告のクリック率を上げられたとしても、最終的な売上には貢献できません。

現場でのコミュニケーションコストを最小限に抑え、戦略の精度を高めるためには、手法のプロである以上に、自社の「商売」のプロとして対等に議論できるパートナーを選ぶことが不可欠です。

「二人三脚」で土台を育てる

代理店との健全な関係とは、事業会社側が明確な指針を示し、代理店がその専門性で応える「二人三脚」の状態です。パートナーを頻繁に変えるのではなく、共通の目標(KGI)に向かって知見を積み上げていくことで、社外にある専門性もまた「自社のアセット」の一部として機能し始めます。

共に試行錯誤を繰り返し、成功も失敗もデータとして共有し続けるプロセスこそが、他社には真似できない強力なマーケティング基盤を構築する近道となります。

まとめ

デジタルマーケティングを事業成長の強力なエンジンとして機能させるためには、目先のテクニックや流行の施策に翻弄されるのではなく、戦略を支える「構造」を正しく設計することが重要です。今回解説してきたとおり、すべての出発点は明確な目標(KGI)からの逆算にあります。

現状のボトルネックを冷静に見極め、それに応じて予算を柔軟にスライドさせる。そして、外部の専門性を借りつつも、自社サイトを「資産(アセット)となる木」として育て上げ、施策を完遂できる組織体制を築く。この一連のプロセスが噛み合って初めて、デジタルマーケティングは「一過性のコスト」を脱し、他社には真似できない「持続可能な競争優位性」へと進化します。

しかし、多くの事業会社において、現状を客観的に分析し、数年先を見据えたロードマップを描き切ることは容易ではありません。代理店を頻繁に変えてしまい「キャッチアップという名の停滞」を繰り返したり、社内の理解が得られず予算が硬直化してしまったりといった課題は、多くのリーダーが直面する現実です。

当社アクトデザインラボ株式会社では、デジタルマーケティングを単なる外注施策としてではなく、貴社の「事業資産」として定着させるための包括的な支援を行っています。目標から逆算した予算設計のアドバイスから、施策をやり切るための組織づくり、そしてビジネスモデルを深く理解した上での伴走型支援まで、事業会社の視点に立ったソリューションを提供します。

現在のデジタルマーケティングに限界を感じている方、あるいは数年後の大きな目標に向けて「負けない土台」を築きたいと考えている方は、ぜひ一度アクトデザインラボへご相談ください。貴社のビジネスに深く入り込み、共に「価値ある森」を育てていくパートナーとして、最適な道筋を提示します。

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