「問い合わせは発生しているけれど、最近伸び悩んでいる気がする」「広告費を増やしても成果が横ばいで、打ち手に迷っている」このように、問い合わせ数が頭打ちになってきている感覚を覚えているのではないでしょうか?
SEOやリスティング広告などの施策で成果を上げることはできても、やがて問い合わせ数が頭打ちになる時期が訪れます。問い合わせが停滞している原因を把握しないまま次の施策に進んでも、期待した効果が得られない可能性があります。
そこで今回は、問い合わせ数が頭打ちになってしまう主な原因と、その状況を打破するための打ち手・注意点を解説します。実際の成功事例や外部パートナー活用のヒントも交えながら解説しますので、自社に合う改善策を見つけるきっかけにしてみてください。
問い合わせ数が頭打ちになってしまう主な原因
問い合わせ数が増えていく中で、あるタイミングを境に「急に問い合わせが獲得できなくなってきた」「広告費を増やしても成果が変わらなくなってきた」のように、頭打ち感を覚えることはよくあります。ここでは、問い合わせ数が頭打ちになってしまう代表的な4つの原因について解説します。
- チャネルが限定的になっているから
- 既存施策の改善余地を使い切ったから
- 広告や記事が同じ人にばかり表示されているから
- 継続的に改善するための体制が整っていないから
チャネルが限定的になっているから
「SEOだけ」「広告だけ」といった一部のチャネルに限定して施策を行っていると、どうしてもアプローチできる顧客層が限られてきてしまいます。
たとえば、SEOは検索ニーズが顕在化している人に強い一方で、まだ課題を認識していない潜在層にアプローチすることは困難です。広告もターゲティングの精度は高いですが、表示される層が固定化されやすく、未認知層や潜在層に届き辛い傾向があります。
結果として、特定チャネルの成果に頼り切った状態では、新しい顧客層との接点を作れず、頭打ち感を強く感じるようになります。
既存施策の改善余地を使い切ったから
広告文やクリエイティブのチューニング、記事の追加やCTAの改善といった小手先の最適化は、始めのうちは効果が見込めますが、徐々に改善の余地がなくなってきてしまいます。
「クリエイティブのABテストを何度も繰り返したが、大きな改善・成果にはつながっていない」「記事数を増やしても想定以上の流入が増えない」「CTAを変更してもCTRがほとんど変わらなくなってきた」のように、頭打ち感を覚えるようになるでしょう。
こうした状況は、既存施策そのものを根本から見直さなければ突破できません。
広告や記事が同じ人にばかり表示されているから
リスティング広告やディスプレイ広告、オウンドメディアの記事などは、一度接触したユーザーに何度も表示される仕組みを持っています。特にリターゲティング広告を設定している場合には、既に接触した顧客層にばかりリーチしてしまうでしょう。
その影響で徐々に成約率や反応率が下がり、問い合わせ数が横ばいまたは下降傾向になってしまうケースが多く見られます。「誰に届けるのか」という対象を広げられなければ、頭打ち感を払拭することはできません。
継続的に改善するための体制が整っていないから
問い合わせ数が頭打ちになる背景には、マーケティングを「一時的な施策」として捉えていることも要因の1つです。
属人化してしまい、担当者が変わると施策が止まってしまったり、KPIや成果指標が明確ではなく改善の方向性が定まらなかったりすると、継続的にマーケティングを実施していくことは困難です。
また、定例の振り返りや分析の仕組みがなく、場当たり的な対応になってしまうと、PDCAを回すことができず、気づけば「やれることはやり切ったが成果につながらない」という状況に陥ってしまいます。
問い合わせ数の頭打ちを打開するための4つの打ち手
問い合わせ数の伸びが鈍化してしまった場合、やみくもに広告費を増やしたり記事を量産したりするのではなく、次の一手を戦略的に考える必要があります。今までと同じ方法を踏襲しても、問い合わせ数が増えない可能性があるため、量をこなす前に戦略から見直していきましょう。ここでは、問い合わせ数の頭打ちを打開するための4つのうち手について紹介します。
- 新しい施策・チャネルを導入する
- 別の商材・プランを作る
- 他社と提携・連携をする
- 成果地点を変え、間口を広げる
新しい施策・チャネルを導入する
SEOやリスティング広告など、すでに取り組んでいる施策に加えて、SNS・ウェビナー・オウンドメディアでの動画発信をしたり、SNS広告の配信やポッドキャストの配信など、新しいチャネルを導入したりすることは有効な手段です。
SNSの広告配信を活用すれば、プライベートの時間を過ごしているユーザーにアプローチすることができますし、ポッドキャスト配信を活用すれば、通勤中やランニングなどの「ながら時間」を過ごしているユーザーにアプローチすることも可能です。
異なるチャネルを取り入れることで、これまで接点を持てなかった見込み客にアプローチができるようになり、潜在層からの問い合わせ創出につながります。
別の商材・プランを作る
問い合わせ数が頭打ちになる要因の1つに、「提供している商材やプランの選択肢が限られている」ことが挙げられます。そこで、低価格プランや別の商材、あるいは無料トライアルを用意することで、今まで検討段階に入っていなかった層を新たに取り込むことができます。
たとえば、導入にハードルを感じていた層に向けてお試しプランを提供したり、既存サービスとは異なる切り口のプランを開発したりすることで、今まで接点を持てなかった顧客層の掘り起こしが可能となります。
他社と提携・連携をする
自社だけで新規顧客層を開拓することが難しい場合は、他社と提携して共催セミナーや共同キャンペーンを実施する方法も効果的です。お互いの顧客基盤を共有することで、単独ではアプローチできなかった層へ効率的にリーチすることができます。
他社と提携・連携する場合には、ターゲット層は近いものの提供サービスが競合しない企業と連携を行うようにしましょう。そうすることで、自社と他社の両者で相互補完的に新しい見込み客を獲得できるチャンスが広がります。
成果地点を変え、間口を広げる
問い合わせが頭打ちになっていると感じた際は、問い合わせ項目を減らして最小限にしたり、成果地点を変えて間口を広げたりすることも有効です。
たとえば、問い合わせよりもハードルを下げた「資料請求」や「メルマガ登録」を成果地点とし、間口を広げ多くのリードを獲得しましょう。その後セミナーやメルマガなどを通して商談の獲得につなげていくことで、今までよりも商談につながったり、新規顧客層を開拓したりすることが可能です。
成果地点を変更する場合には、必ずナーチャリング(顧客育成)が欠かせません。資料請求後にセミナーを案内したり、メルマガから成功事例記事へ案内したりするなどの、段階的な関係構築を実施しましょう。
関係を深めていかなければ問い合わせを獲得することは困難であるため、必ず導線設計も行いましょう。
問い合わせ数の頭打ちを打開した3つの事例
問い合わせ数の頭打ち感は、多くの企業が直面する共通課題です。そんな状況を突破するためには、戦略の見直しや新しいチャネルの導入、顧客ターゲティングの再定義など、より本質的な改善策が必要です。ここでは、実際に当社「アクトデザインラボ」が支援した3つの事例を紹介します。
- 商社|SEM体制を構築し有効問い合わせを安定獲得
- 物流|ターゲティング精度の向上で登録事業社数を3倍に拡大
- 人材紹介|戦略立案と横展開でWeb経由の問い合わせ数を20倍に伸長
商社|SEM体制を構築し有効問い合わせを安定獲得
ある商社では、問い合わせ数が思うように伸びず、Webを活用した安定的なリード獲得に課題を抱えていました。そこでアクトデザインラボは、まず「どの商材で問い合わせを獲得すべきか」という目的整理から着手しました。
ビジネスモデルの理解やマーケット調査・競合調査を行い、注力すべき商材を精査。その上で社内の専門知識を持つメンバーと協力し、質にこだわった記事コンテンツの作成や、Web広告用のランディングページ制作を実施しました。
そして、より自社の売り上げにつなげるために「有効問い合わせ」の定義を、商材購入の検討を行っているか否かで設定。問い合わせ窓口の担当者と密に連携をとり、有効問い合わせの内容を把握し改善施策を打てるように整備することで、PDCAを回せる体制を整えました。
結果として、SEM経由での問い合わせ数の頭打ち感を脱し、有効問い合わせを安定的に獲得できるようになったのです。
物流|ターゲティング精度の向上で登録事業社数を3倍に拡大
物流業界のある企業では、法人向けサービスの登録事業者数がなかなか伸びないことが課題となっていました。Web広告を活用していたものの、ある一定のラインからは成果が思うように伸びていなかったのです。
そこでアクトデザインラボでは、過去に実施した施策の効果を振り返り、Web集客におけるメディアプランと予算イメージ、配信シミュレーションを整理しました。さらに、既存顧客のデータを分析し、長期的にサービスを利用している企業の共通点を抽出し、ターゲティング選定やコンテンツ訴求軸を見直したのです。
また、最終的にサービスへの登録に至ったかどうかのデータを、各種広告媒体にもオフラインコンバージョンとして戻して、媒体側での学習を促進する仕組みも構築しました。
結果として、以前と同水準の予算内で3倍もの登録事業社数の獲得につながりました。
人材紹介|戦略立案と横展開でWeb経由の問い合わせ数を20倍に伸長
人材紹介業を営むある企業では、有効問い合わせがなかなか獲得できないことに課題を抱えていました。当初、問い合わせの入口は電話とフォームを用意していたものの、電話では無効問い合わせの獲得もあり、有効問い合わせの割合を押し下げる要因にもなっていました。
そこでアクトデザインラボは、まずは優先的に戦略立案と実行支援に着手すべきサービスを精査するため、ビジネスモデル整理と各種サービス理解、マーケット調査、競合調査を実施。Web集客とWeb制作についての専門知識を持つメンバーをアサインし、Webマーケティング経由の問い合わせ数向上につながる戦略立案と実行支援を行いました。
問い合わせの入口に関しては、一部制約を入れるなどの工夫を行うことで、有効問い合わせ率を改善するための施策を実施しました。さらに、特定のサービスで成果創出につながったケースを、他のサービスにも横展開することで成功事例を社内全体で共有するようにしました。
結果として、取り組み開始から約6ヶ月でWeb経由での月間問い合わせ数は、取り組み以前と比べて20倍以上に伸長しました。
問い合わせ数の頭打ちの打開策を講じる際の注意点
問い合わせ数の頭打ちを打開するために、新しい施策を取り入れることは重要ですが、誤った判断をしてしまうと、今までよりも問い合わせが獲得できないリスクもあります。ここでは、施策を進める上で特に注意すべき4つのポイントを解説します。
- 既存施策を継続しながら新しい打ち手を試す
- 成果地点を変える場合には導線設計をしっかり組む
- 他社と連携する際にはターゲットの重複に注意する
- 新商材・プランを用意する際には、既存顧客のカニバリに注意する
既存施策を継続しながら新しい打ち手を試す
新しいチャネルを導入したり、新しい商材を開発したりする際は、必ず既存施策を継続しながら行うようにしましょう。あくまでも「追加」であり「切り替え」ではないため、今まで問い合わせを獲得していた施策と、新しい施策を同時並行で進めてください。
既存施策を急にストップしてしまうと、安定的に発生していた成果が一時的に落ち込み、全体の数値が下がる可能性があります。同時並行で進めるにあたっては、リソース不足でなかなか推進できないこともあるため、小さなスケールで検証を重ねていきましょう。
成果地点を変える場合には導線設計をしっかり組む
成果地点を、「問い合わせ」から「資料請求」や「メルマガ登録」に変える場合には、必ずその後のナーチャリング(顧客育成)の導線設計をしっかりと組んでから取り組みましょう。
たとえば、資料請求をした人にはセミナーを案内したり、メルマガ登録をしている人には成功事例を送信したりと、「話が聞いてみたい」と思ってもらえるような情報提供を欠かさず行う必要があります。
成果地点を変更してハードルを下げたり、成果地点を増やしたりすることも大事ですが、問い合わせまでの導線を設計することはセットで考えましょう。
他社と連携する際にはターゲットの重複に注意する
共催セミナーや共同キャンペーンは有効ですが、連携先と自社のターゲットが重複しすぎていると顧客の取り合いになりかねません。むしろ、自社と異なる強みを持ち、相互補完できる関係性の企業と組むことで新しい顧客層の取り組みが成功します。
提携前にはターゲット像や提供価値を照らし合わせ、「本当に双方にとって相乗効果が出るか」を精査しましょう。
新商材・プランを用意する際には、既存顧客のカニバリに注意する
低価格のプランや無料トライアルは新規層の開拓に有効ですが、既存顧客がそちらに移行してしまうと売上減少につながるリスクもあります。問い合わせ数の頭打ちを解消できたとしても、売上が減少してしまっては元も子もありません。
プランを拡充する場合には、「新規を獲得していくプランなのか」「既存顧客のアップセルを狙うプランなのか」を明確にしておきましょう。また、カニバリを避けるため、対象顧客や提供条件を限定するなど、設計段階で工夫をしておくことも大切です。
問い合わせ数の頭打ちを打開できない場合は外部パートナーの力を借りることも選択肢
自社だけで改善策に取り組んでもなかなか成果が出ない場合には、外部パートナーの力を借りることも有効な選択肢です。外部の視点を取り入れることで、自社では気づけなかった改善ポイントや、より効果的な施策の組み合わせを提案してもらえます。また、提携先を紹介してくれたり、セミナーの共催をしてくれたりと、実務ベースでも力になってくれるでしょう。
外部パートナーの力を借りる際は、「伴走型」で支援をしてくれる会社を選びましょう。単なる実務代行ではなく、戦略設計から実行・改善までをともに進めるディレクションを担ってくれます。
戦略部分をディレクションしてもらうことで、成果を積み上げながら注意点を押さえ、社内にノウハウを残していくことも可能となります。「次の一手に迷っている」「属人化して改善が進まない」と感じているのであれば、外部パートナーと一緒に走ることで、自社では到達できなかった成果に近づける可能性が高まります。
まとめ
問い合わせ数の頭打ち感は、どの企業でも直面しうる課題です。そして、その課題を乗り越えていくための改善施策は豊富にあるので、まずは何か1つでも良いのでトライしてみてください。より効果的な施策を実施するためにも、原因を整理し、適切な打開策を講じることも忘れずに行いましょう。
自社だけでは難しそうだと感じた場合には、必要に応じて外部パートナーの力を借りることも検討してみてください。自社にはないノウハウや仕組みを取り入れることができますし、経験豊富な会社であれば自社の業種や業界に合う支援事例もありますから、最適な施策を提案してくれます。
伴走型支援で、自社の問い合わせ数をもっと増やしていきたい・自社だけでは難しいため力を貸してほしいとお考えの際は、アクトデザインラボまでご相談ください。目標達成と内製化を同時に実現するためのお手伝いをさせていただきます。少しでもご興味をお持ちの方は、お気軽にお問い合わせください。

